イワサキ経営スタッフリレーブログ

2009.08.19

『銀行が要求する経営改善計画とは』 ~山部哲~

  業績が悪化してくると、銀行への借入金の返済が資金繰りを圧迫してきます。その場合、仕入債務や人件費の支払を滞ると、業務に支障があるため、銀行への返済を見直してもらうことになります。これをリスケジュール(リスケ)と言います。

 
 リスケの申し込みを行うと、銀行からは「経営改善計画書を出して下さい!」と言われます。「経営改善計画書」とは、業務の改善を行い、いかにして返済原資を作るかを銀行に示す計画のことです。実際のところ銀行は、どのような計画案を要求してくるのかと言うと、いわゆる『経費削減計画』です。もともと銀行員は、数字を分析するのは得意ですが、経営に関しては素人です。商品やサービス、ビジネスモデルのことを事細かく説明しても、本当にそうなのかがわからないので社長の言うことを信用してくれません。ですから、銀行が求める経営改善計画は、「この経費をこれだけ削減するから、その分利益が出る。」という銀行員でも理解できる『経営削減計画』となります。そして、経費削減で効果が大きいのは、人件費です。他の経費を切り詰めても、金額はたかが知れていますから改善効果は期待できません。銀行に言われるまま人件費削減のリストラを行って、業績を悪化させてしまうケースを、最近は非常に多く見ます。
 何故、人件費を削減すると業績が悪化してしまうのでしょうか?それは、人件費は利益(リターン)を得るための必要な投資だからです。中小企業は、人件費を削減すれば、若くて優秀な人材から辞めて行きます。いくら頑張っても給料も上がらない、ボーナスも出ない会社に人が残るはずがありません。結局、会社に残るのは、他社では勤められない人材となってしまうのです。
 会社を再生させるのは、社長であり社員です。再生の原動力となる人材(人財)への投資を削減して、業績を回復させる事などできるはずがありません。中小企業の再生は、人件費削減によって必要な人財を切るのではなく、今いる社員を戦力にして業績を回復させることです。社員の志気が低下し、社員のお客様への対応が悪くなれば、どんな良い商品・サービスをもってしても、お客様は買ってくれません。
 経営者は、利益を出すためには必要な投資は行わなければなりません。投資がなければ利益(リターン)は生まれないからです。闇雲に投資するほど余裕はありませんから投資すべきところを選択し、集中すべきです。この不景気を期に、自社の企業価値の根源を再確認して集中して投資してみてはいかがでしょうか?

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