イワサキ経営スタッフリレーブログ

2022年10月

2022.10.31

ウクライナ情勢が日本経済に及ぼす影響

ウクライナへの軍事侵攻により世界経済の先行きが不透明となり、資源高や円安、米金利高など様々な面で悪影響が出ている。

貿易統計でロシアやウクライナとの直接的な貿易額を見ると、全体の2%程度に過ぎない。しかし、分野別で見れば、鉱業や採石業、エネルギー関連産業、魚介・海産物、金属原料や木材などといった原料に関連する産業では相対的に輸入依存度が高くなっているため、こうした産業では代替品の調達を余儀なくされる。

日本経済への影響を考えた場合、ウクライナ危機に伴う化石燃料や穀物の価格が世界的に上昇することによる間接的な影響の方が圧倒的に大きいと考えられる。ウクライナ危機は世界経済にも悪影響を及ぼすため、米欧中をはじめとした日本の主要貿易相手国の景気減速を通じて日本からの輸出にも悪影響を及ぼす可能性がある。

日本の民間部門はコロナ禍の経済活動抑制に伴う強制貯蓄が潤沢に積み上がっていることから悪影響を一部軽減する可能性があるが、貿易面を通じた影響は避けられないだろう。特に、ウクライナ危機前から半導体をはじめとしたさまざまな供給制約に苦しんできたが、さらに輸出の回復が遅れている。

また化石燃料の価格上昇は、日本の貿易赤字拡大を通じて経常黒字縮小要因となることに注意が必要だろう。経常黒字が縮小するとなれば、対外取引面で相対的に円を外貨に換えて支払う機会が増えることを意味することから、円安圧力が強まる可能性があるためである。

自国通貨が安くなること自体は国内で生み出された財やサービスの国際競争力が高まることを意味するため、一般的にはGDPの押し上げ要因になる。しかし、足元では国際競争力が高まることで恩恵を受けやすい財輸出が、供給制約により十分に力を発揮できていないことに加え、サービス輸出もインバウンド消滅により恩恵を享受しにくくなっている。

結果として、内閣府版GDPギャップを延長すれば、2023年度末時点でも▲1兆円の需要不足が残存する。インフレ目標2%を達成するには内閣府版GDPギャップが+15兆円の需要超過が必要になるため、日本経済は効果的な追加の経済対策を打たない限り、2023年度末までに経済が正常化することは困難だ。

イワサキ経営グループ 監査部 勝間田佳祐

2022.10.18

「デジタル遺品」について

相続手続きをお手伝いする中で最近多いのがデジタル遺品に関する手続きです。

デジタル遺品とは、亡くなった方のスマートフォン、パソコン、SNS、ネット銀行、ネット証券等の暗号資産と呼ばれるものです。

特に大変なのがスマートフォンです。スマートフォンはパスワードが判らなければロックを解除することもできません。契約しているキャリアはもちろんメーカーもどこも対応してくれないのが現状です。国内にもロック解除を請負ってくれる専門の会社がいくつかありますが、100%解除出来る保証はないという事なのです。

仮にロックが解除出来たとしてもインターネット上の色々なサービスには、必ずと言って良いほどIDとパスワード、電話番号が必要となります。 亡くなった方が暗号資産の取引所(ネット証券、ネット銀行等)を経由して資産をお持ちであれば対応してもらえるケースはありますが、個別にやり取りしている場合は大変な労力と時間を要する事となります。デジタル遺品に関しては、生前対策をする他に方法はないと言っても過言ではありません。ID、パスワード等をアナログ式(紙ベース)で管理、保管しておくことが一番でしょう。

我々の生活に欠かせないスマートフォンやデジタルもいざ相続となると大変な労力を要することになるのです。高齢者の場合にはデジタル遺品はあまり関係ありませんが、働き盛りの若い方の場合はこのケースが関係してきます。人生の終わりは老若男女、誰にも分かりません。誰しも「まだ、大丈夫」と思って日々暮らしているものです。

あえて、不吉な事を強調するつもりはありません。しかし、実際、遺されたご家族が頭を抱えて困っていることも事実なのです。何もかもがデジタル化され、便利な世の中になって毎日の暮らしは大幅に改善されています。

その波に逆らって生きていくのも、また大変なことです。

相続の手続きにも、確実に時代の波が反映されつつあります。その中には便利に簡素化された事もあり、逆に手間が増える事もあります。時代の流れに沿って、取り入れる便利さを受けつつ、そこに伴う危険度をしっかり把握し、時にはアナログを活用する寛容さが必要なのではないでしょうか?

相続手続支援センター静岡 山田憲義

2022.10.04

優しさとは何か?

安倍元首相が亡くなりました。大変衝撃的なニュースでした。犯人を憎む報道が溢れました。以前から、テレビの報道を見ていると、ひとたび悪者をみつけたら徹底的に叩くと言う類の報道が溢れているように思います。

人は、公正世界仮説や勧善懲悪が好きです。公正世界仮説とは、「地道に努力すれば報われる」とか、「怠け者には天罰が下る」などという、すべての正義は最終的には報われ、すべての罪は最終的には罰せられるという考えです。

しかし残念ながら、この公正世界仮説は本当ではありません。もしもそれが本当ならば、水戸黄門のような勧善懲悪ドラマがあれほどのロングランにはならならないのです。現実は、違う仕組みと力が働いていて、世の中不平等だと感じている人が多いから、水戸黄門が悪代官をやっつける姿を見て溜飲を下げるのだと思います。

ではこの不平等な世の中で、私たちはどのように行動するのが正しいのでしょうか?私の母は小さい頃から他人に対しては他人の気持ちになって考えるよう、他人の立場になって考えるように、他人に優しくあれと教育してくれました。母が間違っていたとは決して考えませんが、他人の立場に立って考えるとか、他人の気持ちを推し量るとか、本当にできるでしょうか?

今回の安倍首相を狙撃した方の立場を、我々は共有できるでしょうか?決してその方の肩を持つ気は起こりませんが、でも世の中で孤立し、行き場がなかった事は察することができます。その方を徹底的にたたくことは、世の中をよくするでしょうか?私たちはどうすれば優しくなれるのでしょうか?

私は人の立場に立つなどと言う事は無理なんじゃないかと思います。所詮は生きている環境によって立つ文化も違うわけですから。ならば、どうすれば良いかと言うと、人の話に耳を傾けること以外にないと思うのです。相手の主張を傾聴し、自分と相手との距離を推し量り、その距離を縮める妥協点を探す。相手を理解するなどと言うおこがましいことを言わず、相手との立場や文化の違いを認識し、これを受け入れた上で、自分との接点を模索する。

企業や社会が成長するには、ダイバーシティーが大切だと言われています。私と他人は違うという事実を認め受入れたうえで、相手が自分の理解の範疇にいないと排他的に構えるのではなく、相手の話を傾聴し、接点を模索する地道な努力を続けることがダイバーシティーを実現します。優しさとは、既成概念の眼鏡をはずして、コミュニケーションをとろうとする姿勢、相手を知ろうとする姿勢、自分との距離を縮めようとする努力だと考えます。

そろそろ、水戸黄門から卒業したいものです。

イワサキ経営グループ 資産税課 小宮山 麗子

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