イワサキ経営スタッフリレーブログ

2016年01月

2016.01.20

経営者の意思決定とエゴ排斥 ~宮川良太~

 昨今の大手企業の不正経理・不正工事の事実を皆さんはどのようにお感じでしょうか。

これらの事件の背景には、経営者の保身というエゴそのものが垣間見えます。利益至上主義に走り、結果として、利益を喪失するという悲劇を招いてしまっています。
この事実を引き起こした原因の根本には、経営者の資質の問題と会社組織における原理原則の喪失が考えられます。
大小の規模に関わりなく企業は、経営者の考える経営方針によりその方向性が決定されます。その時、経営者が自らの保身(エゴ)を最重要課題とするならば、企業の進路は、迷走と問題の先送りを繰り返し、深くて暗い泥沼に陥るのです。
つまり、組織の原理原則の喪失により、経営者個人の方針が独り歩きし、その結果、従業員の仕事に対する責任感が失われ、その場凌ぎの風潮が蔓延してしまうのです。
経営者は、順風満帆の時ばかりではなく、逆境に立ち向かう時の方が多いと思います。故に、その資質が問われるのです。しかし、完全な人間なぞ存在しません。経営者自らが己の弱点を知り、私人ではなく経営者としての己を創造すべきなのです。
では、具体的に経営者は何をなすべきなのでしょうか。経営者の仕事とは何なのでしょうか。
経済学者のピーター・ドラッカーは次のように経営者の条件の一つを挙げています。
『真に例外的な問題を除き、あらゆるケースが基本の理解に基づく解決策を必要とする。原則、方針、基本による解決を必要とする。一度正しい基本を得るならば、同じ状況から発する問題は実務的に処理できる。』
すなわち、企業においては、経営者の下に原理原則に基づく基本方針が徹底され、組織全体に揺るぎなく浸透し、従業員全体において意思統一がなされる事の重要性が表現されています。
さらに、ドラッカーは、経営者の仕事の一つとして次の二点を経営者に求めています。
①繰り返し行っている意思決定を一つ見つけてください。
②意思決定のルールを一つ作ってください。
つまり、経営者の意思決定を必要としない組織作りが、究極のエゴ排斥の手段なのです。

2016.01.20

ユニークな海外の税率事情 ~高島 正明~

 2015年度の税制改正関連法で、自民、公明、次世代の党などの賛成多数で可決・成立した消費税率10%への引き上げでしたが、景気等の判断により、当初の予定から1年半先送りして2017年4月へ延期することになりました。

その中、自民・公明両党は、食料品などの消費税率を低く抑えるいわゆる「軽減税率」の導入に向けて、委員会を設置し具体的な制度の検討に入っていることは、国民の関心も多いかと思われます。検討委員会では、軽減税率の対象品目を「すべての食料品と飲料」や「米・みそ・しょうゆ」に絞った場合などいくつかのケースでの税収がどの程度減るかを示した試算を基に連日議論されています。世論調査でも8割が軽減税率導入に賛成しているようです。
しかし、財務省、自民党税調、経済界は「対象品目の絞込みが大変」「複数税率だと経理が複雑」など反対・消極的な考えもあるのも現実です。多くの経済学者も高い所得には高税率が適用される所得税に対して、所得に関わらず一律の税率が適用される消費税が逆進的だと否定する声が上がっています。
ここで海外のユニークすぎる税率事情を紹介したいと思います。イギリスでは、標準税率20%、軽減税率0~5%です。5%の主な品目はチャイルドシート・住宅リフォーム、0%は食品、水道料、運賃、障害者用器具、書籍、新聞、雑誌などです。ここでユニークなのがおやつの「クッキー」です。チョコチップが入っているクッキーは非課税、チョコレートがかかったクッキーは課税といったチョコ付きとチョコなしで税率が変わるのは、贅沢品と生活必需品の線引きがそこにあるからなのです。またカナダでは、標準税率10%、軽減税率0%です。主な軽減税率品目は食材(ミルク、ブレッド、野菜など)農産品(穀物、原毛)、処方箋薬、医療機器(補聴器・人口歯)などです。ドーナツはまとめ買いがお得なのです。外食か家で食べるかの違いで税率を区分しているからなのです。ドーナツ5個以内は、外食とみなされ標準税率の10%がかかり、6個以上買うとその場では食べられないとされ、食料品となり軽減税率0%となるのです。
贅沢品と生活必需品の間での軽減税率を設ける国が多い事が伺えます。事業者の導入コスト負担の増や実務家としての申告業務を考えると複雑な心境です。

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