イワサキ経営スタッフリレーブログ

2021.10.11

TOC理論

TOCとは、Theory of Constraintsの略で、イスラエルの物理学者であるエリヤフ・ゴールドラットが提唱した経営理論である。日本語では、「制約条件の理論」と訳されている。TOCを描いた小説である「ザ・ゴール」は、ビジネス書のバイブルとして全世界で1000万人を超える読者がいるとされており、これだけ売れているビジネス書は、他に類を見ない。

TOCでは、企業の生産性の向上はボトルネック(制約条件)に依存しているため、ボトルネックを集中的に改善することで、全体最適をもたらすことができる考え方を示している。ボトルネックとは、砂時計のくびれをイメージするとわかりやすい。砂の流量はくびれの幅によって制約を受けてしまい、くびれ以外の部分を補強するなどしても全体最適にはつながらない。

ボトルネック(制約条件)には3種類ある。一つ目は、物理的制約である。製造などにおいて、ある工程の処理能力が低いため、システム全体が生み出すアウトプットが制限されている工程をいう。この場合、物理的制約(能力的制約)を取り除くことにより生産性の向上を図ることができる。二つ目は方針制約である。経営方針がボトルネックになっていることを指す。具体的には、組織や評価制度などに問題がある結果、全体のアウトプットが制約を受けているような状態を指す。3つ目は市場制約である。自社の生産能力が市場の需要を上回っている状態をいう。この場合には、需要を喚起するマーケティング戦略などの変更が必要になる。  

企業のボトルネックの9割以上は、方針制約のボトルネックであるといわれている。企業内部では、常識と考えられていることが、実は思い込み、勘違いではあったということはよくあるケースである。

TOCでは、企業の目的を「現在から将来にわたって儲けること」にしている。ここでいう儲けとは、キャッシュフローの創生のことであり、キャッシュフロー創生には、従来の財務会計では、推し量ることができないため、①スループット②在庫③業務費用の3つの指標をKPIにすることを推奨している。ここでは詳しい内容は割愛するが、「ザ・ゴール コミック版」はTOCのエッセンスが詰まった内容であり短時間で読むことができる。経営者には一読を勧める。

イワサキ経営グループ
財務コンサルティング事業部 齊藤直也

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