イワサキ経営スタッフリレーブログ

2015.03.20

アベノミクスと倒産件数のマジック ~山部 哲~

 日経新聞に昨年の倒産件数に関する記事が掲載されておりました。「H26年の企業倒産、24年ぶり1万件割れ、12月は前年比9ポイント減」。また、東京商工リサーチが発表した全国企業倒産件数(負債総額1000万円以上)は、H26年は年間で9731件と前の年に比べ10ポイント減り、H2年以来24年ぶりに1万件を下回ったと書かれております。

アベノミクスによる景気回復を背景に金融機関が中小企業向け融資の姿勢を緩めているほか、公共事業の前倒し執行などが影響したと言われています。上場企業の倒産についても24年ぶりにゼロとなっております。
中小企業を支援している私たちにとっては非常に喜ばしい記事なのですが、反対に中小企業庁が公表している「2014年版中小企業白書について(本文)」の中には“中小企業・小規模事業者の企業数も減少が続き、直近の3年間で35万社減少”という事が書いてあったのです。
中小企業の倒産件数は減少しているにもかかわらず、何故、中小企業の数はどんどん減っているのかご存知ですか。それは、倒産件数のカウントの仕方に理由はあります。東京商工リサーチでは、次に該当するものが「倒産」としてカウントされます。
 ①法的倒産(会社更生法、民事再生、破産、特別清算)
 ②私的倒産(銀行取引停止処分)
これらに該当しない「倒産」は、倒産件数としてカウントされていないのです。
分かりやすく言いますと、破産費用も無く、とりあえず放置している会社や経営者が夜逃げしてしまった会社は「倒産件数」としてカウントされないのです。
つまり、アベノミクスによる景気回復は、ごく一部の業種や上場企業等の大手企業が恩恵を受けただけで、中小企業の経営環境は依然として厳しい状況が続いているということです。
大企業であれ、中小企業であれ、この厳しい経済環境の中で経済活動を行って生き残っていくのは非常に大変です。
中小企業の経営者に、自社の強みを生かした経営を推奨しておりますが、自社の強みを把握していない経営者が非常に多いです。自社については弱みばかりが目につきますが、中小企業は弱みを見出したらキリがありません。それより自社の経営資源は限られているので、その中から強みを再度確認して、戦略を立ててみてはいかがですか。

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