イワサキ経営スタッフリレーブログ

2018.09.26

退職年金(一時金)に係る相続税の課税関係 ~高橋 彩~

 相続において、被相続人の死亡後支払われた年金については、その年金の種類によって取り扱いが異なるのをご存知でしょうか。

年金の種類は大きく分けて、公的年金と私的年金の2種類があります。遺族に対して支払われる私的年金についてはその種類に応じて、相続税の課税対象になります。
ではどのような場合にどういった評価をしていくのかを事例ごとに見ていきたいと思います。
事例①:
在職中に死亡退職となったため年金の原始受給権を取得した場合、この年金はみなし相続財産である『退職手当金等』とみなされます。
また、被相続人の死亡により、相続人等が被相続人に支給されるべきであった退職手当金等の給与の給付を受け、その給与は死亡後3年以内に支給が確定している場合、退職手当金に係る非課税規定の適用ができ、遺族が受け取った退職手当金の合計額のうち500万円に法定相続人の数を乗じた金額を限度として、相続税の課税価額に算入しないものとされています。
事例②:
会社退職後、直ちに年金支給が開始されましたがその後3年で亡くなり、残存期間に係る年金の継続受給権を取得した場合、『契約に基づかない定期金に関する権利』とみなされます。
この事例の場合、保証期間中の被相続人である定期金受取人の死亡により、相続人が定期金(もしくは一時金)の継続受給権を取得した場合に該当し、みなし相続財産の『契約に基づかない定期金に関する権利』に該当します。
尚、定期金に関する権利に該当する年金には退職手当金等に係る非課税既定の適用はありません。
事例③:
会社退職後3年目に亡くなってしまったが、年金の支給開始が会社退職後5年経過後とされていたため、遺族が年金の原始受給権を取得した場合、当該年金は事例①と同様にみなし相続財産である『退職手当金等』に該当し、退職手当金等に係る非課税規定の適用があります。
ここまでの事例①~③のように、同じ退職年金でも適用要件を満たしているのか、退職年金の支給開始のタイミング等で『退職手当金等』なのか『契約に基づかない定期金に関する権利』として評価するのか、それによって非課税枠の適用があるのかないのかで相続税額も大きく変わってくるので、退職年金に係る相続税の課税関係について正確に理解しておく必要があるといえるでしょう。

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