イワサキ経営スタッフリレーブログ

2024.02.07

「社長と後継者が共にめざす会社の姿を」

「息子がやりたい経営が理解できた。これでやっと息子と話し合いができる。ありがとう」。こう言って、60代経営者は私の前で涙を流されました。これは静岡県内の家族経営法人へ伺い、外国人材活用制度について説明をさせて頂いた時のこと。社長からご依頼を受けて3回にわたって訪問した最終日の、忘れられない
一場面です。   

「お義父さんに話しても理解できないから」と事を進めてしまう息子に、社長は「説明が不十分でわからない。会社がどうなっていくか、今後自分が経営の管理をできなくなるのが不安だった」「これで息子に自分の考えを伝えられる」と話してくださいました。一方で息子さんは「数年後自分が事業を承継する。今から自分の強みを活かしたい」とのことでした。社長の〝実績とプライド、経験で培ったノウハウ″と、息子の〝社会や業界の変化への対応、自分のやり方でという気概″、そして社長である「父」と後継者である「息子」それぞれのなかで、当事者以外にはわかり得ない感情が複雑に揺れているのを感じました。周りはつい「もっと二人で話をしたら」と言ってしまいがちですが、そう単純なものではないのだな、と改めて思った件でした。

現在、企業の「事業承継準備」として「社長と後継者の未来の会社づくり」のサポートをさせて頂いています。社長と後継者とで「事業承継時に会社がこうなっている」という「めざす会社の姿」を一緒に考えます。その過程で、社会状況や自社の現状を分析し、めざす姿とそれを実現させる際の自社の課題と対策を検証をします。こうした「具体的なテーマでディスカッションの場を設ける」こと、「それを第三者が中立的な立場で進行する」ことで、社長と後継者それぞれ考えていたことを見える化し、建設的な話をしながら「めざす会社の姿(ビジョン)」の統一とその実現のための具体的な「経営戦略づくり」をしていきます。

今でも時折、前出の社長の涙と飛び切りの笑顔、息子の気持ちの入った顔を思い出します。会社への想いが強い程、向かう方向が違うと大きくずれていきます。しかし、めざす会社のイメージが共有されたとき、二人一緒にモチベーションがあがり、決定のスピードも上がっていきます。

 「イメージできるものしか実現できない」といわれるなか、こういった場面に立ち合う度、「めざす会社の姿」の明確化に意義を日々感じています。

イワサキ経営グループ 経営支援課 川下真理

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